桜めぐり

 こおりやま広域圏の17市町村には、数多くの桜の名所がある。「日本三大桜」に数えられる国天然記念物、三春町の「三春滝桜」をはじめ、桜の巨木が地域の春を彩り、たくさんの花見客でにぎわう。開花のタイミングも少しずつ異なっており、各地の「さくら巡り」も大きな魅力だ

三春滝桜(三春町)

 「日本三大桜」に数えられる滝桜は、大正11年10月12日に、桜の木としては初めて国の天然記念物に指定された名木。四方に伸びた枝から、薄紅色の花を咲かせ、流れ落ちる滝のように見えることから「滝桜」と呼ばれるようになったとも言われている。

開成山の桜(郡山市)

開拓用の池の堤を強化するため、安積開拓を担った「開成社」が桜を植えたのが始まりとされる。今でも約1300本の桜が咲く県内有数の桜の名所。開成山公園には日本最古級のソメイヨシノがあり、毎年春には、たくさんの花が咲く。

紅枝垂地蔵ザクラ(郡山市)

樹齢約400年といわれるシダレ桜で、三春滝桜の娘と伝えられている。その枝ぶりは母似ですが、滝桜に比べて濃いピンクの花が特徴。木の下に地蔵堂があり、昔から赤ん坊の短命、夭折の難を逃れるためにこの地蔵に願をかけていたと伝わる。近くにはモモの花が咲き並ぶ「ハナモモ回廊」がある。

笹原川千本桜(郡山市)

 郡山市を流れる笹原川に約2kmにわたって約1000本の桜並木が続く。洪水の被害を防ごうと昭和30年代に河川改修に着手したのを契機に、のちに地元住民が整備された堤に桜を植樹したのが始まり。公益財団法人日本さくらの会の平成8年桜功労賞を受賞。

釈迦堂川の桜(須賀川市)

 市制施行30周年を記念して1984年(昭和59年)に植樹。須賀川市内を流れる釈迦堂川の両岸約2kmにわたり、約350本の桜並木が続き、春の須賀川を彩る。例年、開花期の4月上旬から下旬には「さくらまつり」が開催され、桜のライトアップも実施され、夜桜を楽しむことができる。

翠ヶ丘公園の桜(須賀川市)

 翠ヶ丘公園は緑豊かな総合公園。園内を流れる「須賀川」の両岸約1kmに渡り桜並木が続く。朱く彩られた太鼓橋周辺は撮影スポットとして人気を集める。

横田陣屋御殿桜(須賀川市)

 江戸時代に横田の地を所領していた溝口氏の邸宅内に植えられていたため、「御殿桜」と呼ばれ、館の主に寵愛された桜と伝えられている。
長沼地区で一番早く咲く桜として知られている。

中島の地蔵桜(二本松市)

樹齢推定200年のベニシダレザクラ。枝の幅は約30メートルあり、傘状に広がる枝に花が咲き誇る。近くには延命地蔵が祭られている。
ライトアップでは、中島の地蔵桜を守る会や地域住民が水を張った水田に、薄紅色の花が鏡に映し、幻想的な風景が広がる。

霞ヶ城公園の桜(二本松市)

公益財団法人日本さくらの会の「日本さくら名所100選」に選定されている。二本松城跡を公園とした花の名所。公園内には、ソメイヨシノをはじめとした約2500本の桜が咲き誇り、美しさを堪能できる。

小沢の桜(田村市)

畑の中にあるソメイヨシノの一本桜。近くに野仏とほこらがある。篠原哲雄監督、田中麗奈さん主演の映画「はつ恋」に“願いの桜”として登場し、最後の花見のシーンなどがここで撮影された。

大聖寺のベニシダレ(田村市)

推定樹齢約270年。滝桜の子であると言われている。JR磐越東線「要田駅」近くの県道沿いにある大聖寺の本堂への斜面に咲く1本桜。しなやかな枝に、紅色の花をつけ、美しい景観が特徴。

塩ノ崎の大桜(本宮市)

県指定天然記念物。小高い丘の上に咲く推定樹齢600年のエドヒガンザクラ。高さは約20メートル、幹囲約7・2メートルの大桜。毎年4月中旬から下旬に淡紅色の花が満開となる。周囲には黄色い菜の花が咲いている。

城ノ内古戦場の桜(本宮市)

 三春町の滝桜の子桜といわれる樹齢250年の枝垂桜。城ノ内古戦場は戊辰戦争の激戦地。銃撃を受けたが、この桜の木の陰に逃げ助かった人がいて、その子孫が桜に会いに来て御礼をしたと伝えられている。

相応寺のしだれ桜(大玉市)

 推定樹齢350年で、美しい樹形を本堂の大屋根に映している。相応寺は、大同2年(807年)法相宗の徳一大師がによって安達太良山に建立されたと伝えられている。永禄3年(1560年)に現在地へ移ったといわれる。

馬場ザクラ (大玉市)

国指定天然記念物。サクラの場所が八幡太郎義家(1039~1106年)が馬の訓練をした馬場だったといわれ、義家がサクラのムチを土にさして駒止めしたものが根付いたことから「駒止めの桜」ともよばれている。
 2018年(平成)年3月、強風により倒れたが、村民の支援により守られた。

岩瀬牧場の桜 (鏡石町)

 牧場内に樹齢120年を越えるソメイヨシノの古木群がある。880(明治13)年に国内初の国営牧場として開設され、払い下げを受けた岡部長織子爵が桜の植栽を進めた「子爵の桜」など東北屈指の歴史を誇る桜並木。

鳥見山公園の桜 (鏡石町)

  公園内は約18haの広さ。数多くのサクラが咲き誇り、桜の開花に合わせて、ライトアップも行われる。野球場、陸上競技場などスポーツ施設が整備されており、花見とスポーツ、行楽を楽しむ。

大方寺のしだれ桜 (天栄村)

高台にあり、見上げるような樹高を誇るしだれ桜。同じ境内に推定樹齢350年のキャラボクもある。

吉祥院の枝垂れ桜(天栄村)

樹齢約450年、樹高約15m、胸高周囲約3.55mで村内一の桜の古木。戦国時代にこの地を治めていた須賀川二階堂氏の一族箭田野伊豆守から当時の住職良堯が祈念樹としてもらい受け、現在の場所に手植えしたと伝えられている。昔から地元の人々から「種蒔き桜」として春、農作物の種を蒔く目安とされてきた名木。

赤枝・八幡神社の桜(磐梯町)

赤枝地区の八幡神社には「木造八幡太郎義家馬と像」があり、地域の鎮守として信仰されてきた神社。正面に樹齢約250年のエドヒガンザクラの巨木がたくさんの花を咲かせる。

亀ヶ城跡の桜(猪苗代町)

 亀ヶ城公園は、中世の磐梯山南麓に、地域を治めた猪苗代経連が1191年(建久2年)、本格的な築城法で築いた平山城の城跡である猪苗代城跡とその周辺を整備した公園。当時の石垣とともに、数多くの桜が咲く風景が花見客を楽しませる。

観音寺川の桜並木(猪苗代町)

猪苗代町川桁地区を流れる観音寺川沿いの桜並木でソメイヨシノやシダレザクラなど約200本が河川敷の約1キロにわたり川の両岸を彩る。
穏やかな川の流れが、「桜のトンネル」が薄紅色に染まる。開花期は「観音寺川桜まつり」が開かれる。

今出川・北須川の桜並木(石川町)

石川町のまちなかを流れる今出川と北須川沿いに、ソメイヨシノなど約2千本の桜並木が続く。川が街並みに沿って流れる地形に数多くの桜が咲き、古くから「桜谷」と呼ばれる。両川が合流する地点の近くにある「あさひ公園」では、多くの人が花見の散策を楽しむ。

高田桜(石川町)

北須川沿いの傾斜地にそびえ立つ。1956年(昭和31年)に県の天然記念物に指定された。幹の周りが約6メートル20センチ。樹齢約500年。

金毘羅桜(玉川村)

個人宅の庭にそびえる樹齢300年の紅しだれ桜。以前は種まき桜と言われていた。朝と夜の表情の変化も楽しめる。
幹の太さ4m50㎝、樹高13m。天明・天保の大飢饉の後、金毘羅詣りの記念樹として植樹されたといわれる。

福島空港公園                      (玉川村、須賀川市)

福島空港公園の開園から30年を迎え、「エアフロントエリア」「野外活動エリア」を中心に桜の名所になった。ソメイヨシノを中心にたくさんの桜が咲き競う「サクラの広場」や散策路では家族連れなどが花見を楽しんでいる。

ジュピアランドひらた芝桜             (平田村)   

平田村のシンボル蓬田岳麓の自然を生かし、約25万株の芝桜が植栽されている。例年4月下旬から5月中旬に「芝桜まつり」が開催され、多くの来場者でにぎわう。

城山公園の桜(浅川町)

浅川町を一望できる公園に桜並木が映える。戦国時代の山城だった浅川城跡がある公園で、遊歩道も整備されている。

八紘園の桜(浅川町)

市街地にある池の周りに遊歩道と花壇が整備され、たくさんの桜が咲く花見の名所。散歩やジョギングを楽しむ人も多い。

越代のサクラ(古殿町)

 福島県指定文化財(天然記念物)、林野庁「森の巨人たち百選」。樹齢約400年、標高約20mのヤマザクラ。県内でも開花が遅い桜のひとつ。毎年「越代のサクラ祭り」が行われている。

弘法桜(三春町)

田園地帯の丘の上にそびえる二本のエドヒガンザクラ。推定樹齢は約400年。共同墓地内にあり、木の近くには桜の名前の由来にもなっている祠がある。

夏井千本桜(小野町)

夏井川の両岸約5キロメートルにわたり、ソメイヨシノの苗木1000本を植樹。遊歩道を歩いたり、夜にはライトアップされた桜を楽しむことができる。地元住民が「夏井千本桜祭実行委員会」を組織し、千本桜の手入れや保存に力を注いでいる。