インフラ・拠点施設

福島空港

 福島県の「空の玄関口」として須賀川市、玉川村に1993年(平成5年)に開港し、30周年を迎えた。これまでの搭乗客数は今年2月末で延べ約1236万人。現在の定期便は大阪、札幌の2路線。
 チャーター便の誘致を進め、チャーター便運航本数の年間平均は、国内線で2013~2022年度が42便と増加した。国際線では今年1月にベトナムを結ぶチャーター便が復活するなど、明るい兆しが見えている。飛行機の発着点だけでなく、多彩なイベントの会場や学習の場、交流の拠点としても活用され、全国の物産展やフェア、展示会など年間30件を超えるイベントが開催されている。

ビッグパレットふくしま

 1998年(平成10年)10月16日、郡山市に開館した。敷地面積50,000m²、延床面積 23,258m²、鉄骨造地上4階、地下1階。展示、会議、レセプションの3つの機能が融合した複合コンベンション施設として、国際会議から一般展示会まで多様なニーズに対応している。
1階は、約5500平方メートルの多目的展示ホール、約950平方メートルのコンベンションホールに加え、屋外展示場がある。2階には、レストランやエントランスロビー、アトリウムロビー、3階は中会議室、小会議室、研修室、4階のプレゼンテーションルームには特別会議室、特別室を備えている。

ペップキッズこおりやま

 東日本大震災・福島第一原発事故で、屋外での遊びの制限を余儀なくされた子どもたちに、安全で元気に楽しめる遊び場の提供を目指して、2011年12月にオープンした。子どもたちの生活環境に求められる「3つの間」(空間・仲間・時間)を満たし、楽しみながら体を動かせ、多様な動きを体験できるように工夫している。
 数多くの遊具を使い分けて出し入れし、プレイリーダーが、あそび環境を支えている。「ペップアクティブ」は東北最大級の屋内遊び場で、70平方メートルの砂場や三輪車のサーキットなど、思いっきり遊ぶことができる。「ペップキッチン」では、食育講座から調理体験、試食まで、料理をしながら「食べる」ことの大切さや「作る」楽しさを学べる。

福島県男女共生センター

 二本松市に施設があり、女性も男性も個人として尊重され、互いに支え合い、共に責任を担う社会「男女共同参画社会」の実現を目指して設立された。自己啓発や社会参加を通して、一人一人が男女共同参画についての問題に取り組む実践的活動拠点として活用。自己促進、情報、交流の3つの機能を担う。さまざまな講座やイベントが開かれ、相談室では法律相談、女性のためのカウンセリングなど。
 1階には、研修ホールや福祉機器展示室、2階には多目的研修室、相談室 、子供室、3階には特別会議室と図書室、レストラン 交流室、4階には研修室と宿泊室、5階には、工作室や調理室、宿泊室、介護実習室などを備えている。

地域づくり拠点

ふくしま逢瀬ワイナリー

 東日本大震災で打撃を受けた福島県の農業の復興に寄与するため、果樹農業の6次産業化に向け、2015年10月に誕生。特産品の果物の生産から加工、販売までを一体的に運営する新たな事業モデルを構築し、農産物や地元ブランドの付加価値を高めている。
 地元産果物を原料とした酒類を製造。ワイン用葡萄の栽培に地元農家や郡山市とともに取り組んでいる。郡山産ブドウで醸造した郡山産ワインは、自分の家を意味する方言「おらげ」にちなみ「Vin de Ollage(ヴァン デ オラージュ)」。アジア最大の国際ワインコンペティション「サクラアワード」で、ゴールドを受賞するなど、高く評価されている。

須賀川市民交流センター tette

 東日本大震災で大きな被害を受け、中心市街地の再生・活性化に向け、総合福祉センターに代わる施設として、2019年に開館。「創造的復興」を目指し、市民交流や子育て支援、市民活動の支援、図書館や公民館などの生涯学習機能、集客力の高い複合施設として、「市民文化復興のシンボル」とされる。
 須賀川市出身で「特撮の神様」と称される円谷英二監督を顕彰する「円谷英二ミュージアム」には、英二監督の68年間のあゆみや人物像をパネルや映像インタビューで紹介し、特撮メイキング映像や造形物を展示。
 図書館や子どもセンター、生涯学習の公民館機能などの役割を担う。

高柴デコ屋敷

 郡山市西田町にある高柴デコ屋敷は、三春駒と三春張り子人形の発祥地。デコ屋敷の「でこ」とは人形のことで、「人形屋敷」との意味。
 江戸時代は三春藩の領地だったため、三春駒や三春人形と呼ばれるようになった。
今では人形づくりの工房が4軒あり、伝統を守っている。張子人形や張子面、三春駒などを作り続け、人形木型は県重要文化財に指定されている。
 郡山市重要無形民俗文化財の「高柴七福神踊り」や「ひょっとこ踊り」など独自の文化も根付いている。

磐梯熱海観光物産館

 郡山市熱海町の熱海多目的交流施設「ほっとあたみ」内にある観光拠点。郡山市で初めての観光物産館であり、無料休憩所も完備した複合施設。地域の農家が生産した野菜などの農産物や加工品、地酒など幅広い商品を販売。福島県や郡山の銘菓などの観光お土産品を揃えている。日本遺産「未来を拓いた『一本の水路』」の常設展示のコーナーでは、安積疏水の歴史と役割、明治維新後の日本の近代化に果たした役割等を紹介している。

母畑レークサイドセンター

 石川町の母畑湖を彩る落葉樹林の中にあり、広々とした敷地には、スポーツやレジャーを楽しめる施設が揃っている。屋外テニスコート、アイススケート場(冬季のみ)、体育館が整備され、自然林の中には遊歩道やオートキャンプ場などがある。

環境・エネルギー

産総研 福島再生可能エネルギー研究所

 郡山市で、カーボンニュートラル実現のため再生可能エネルギーネットワーク開発・実証、水素エネルギーの技術開発、水素キャリア利用の技術開発などを進めている。
 敷地面積は78000平方メートル。研究本館は一般実験や会議・外部連携などを担う。「実証フィールド」では、再生可能エネルギーネットワーク実証、「実験別棟」では、特殊実験などに取り組んでいる。「スマートシステム研究棟」では、太陽光発電用大型パワーコンディショナなどの先端的研究開発と試験評価を行っている。
 太陽光発電や風力発電設備、地中熱利用実験、アンモニア合成利用実証試験装置なども設け、技術開発を進めている。

コミュタン福島

 福島県環境創造センター交流棟(愛称:コミュタン福島)は、県民の不安や疑問に答え、放射線や環境問題を身近な視点から理解し、環境回復と創造への意識を高めてもらうための施設。放射線やふくしまの環境の現状に関する展示のほか、360度全球型シアター、200人収容ができるホールなどを備えている。
 コミュタン福島で得た学びや体験から得た知識や深めた意識を、子どもたちや様々な団体が共有し、それぞれの立場から福島の未来を考え、創り、発信するきっかけとなる場を目指します。

体験型環境学習施設

 郡山市の富久山クリーンセンター内に、 「カーボンニュートラルシティこおりやま」の実現に向け、低炭素型の行動を後押しするため、今年4月にオープン。パネルや動画を見たり、1人当たり1日分のごみ排出量(2020年度)の重さを体感できるコーナー、タッチパネルを使ったゲームをしながら、地球温暖化や3R(スリーアール)のことなどについて、学ぶことができる。

フォレストパークあだたら

 大玉村にある、ふくしま県民の森「フォレストパークあだたら」は、「森林との共生=フォレスト・エコ・ライフ」を推進するために福島県が整備した。中心となるビジターセンターには、森林を眺めながら、ゆっくりと入れる温泉や、ショップ&カフェ、ライブラリー、レクチャーホールなどがある。オートキャンプ場ではグループサイトと個別サイト、コテージなど、多彩なキャンプに対応できる。
 森林学習エリアには、ユースキャンプ場があり、体験学習の森やセラピー体験コースを設け、森林館と森林学習館がある広大な森林学習施設となっている。

野生生物共生センター

 大玉村にある施設で、人の影響で傷ついた野生動物の治療と保護を行い、自然界への復帰を助けている。野生動物の生息調査や放射性物質の影響などを調査にも取り組んでいる。
 環境教育として、ビオトープコーナーやパネル展示、顕微鏡コーナー、復帰訓練中の動物観察など、野生動物と人とのかかわりになどついて学習する場を提供している。

沼上発電所(水力発電)

 明治 32 年(1899 年)に、猪苗代湖と安積疏水の落差を利用して運転を開始した水力発電所。建設には「電気化学工業の父」と称された野口遵が技師長として携わった。
 出力は2100kw。日本初の高圧電力の長距離送電により、郡山市の紡績や繊維産業の発展に大きく貢献した。現在も稼働している水力発電所(再開発を除く)としては福島県で最も古い発電所となっている。近代化産業遺産。

丸守発電所(水力発電)

猪苗代湖と安積疏水の落差を利用して造られた水力発電所。沼上、竹之内発電所と同様に造られた。 大正 10 年(1921 年)に運転を開始し、人口増加による家庭への電力供給を増やすことを目的とした。
 出力は5900kwで、一般の家庭に換算すると、約2000世帯分に相当する。水圧鉄管は長さ約150m、高低差が約87m。近代化産業遺産。

竹之内発電所(水力発電)

 猪苗代湖と安積疏水の落差を利用して造られた水力発電所。人口増加による家庭への電力供給を増やすため、大正8年(1919 年)に運転を開始した。出力は3700kw。一般の家庭に換算すると、約1200世帯分に相当する。

ダ  ム

三春ダム・さくら湖

 三春ダムは1998年(平成10年)、阿武隈川の右支川である大滝根川に、多目的ダムとして完成。三春町西方地区にある。三春ダムの流域は、三春町、郡山市、田村市の2市1町。
 湖水面積は、2.9キロ平方メートルで、洪水時の最高水位は標高333m。総貯水容量42,800,000立方メートル。堤高65m、堤頂長174m。洪水調節を担う。最大1秒間に2.6立方メートルの水を周辺の田畑に供給。
 さくら湖は流域の豊かな自然環境を守り、水質、生き物、森林や田畑など地域資源を育てていくことを目指している。

藤沼ダム(藤沼湖)

 須賀川市の西部にある藤沼ダム(藤沼湖)は、周囲の公園とキャンプ場や温泉、コテージなどのレクリエーション施設が充実し、多くの人に親しまれ、「ため池百選」にも選定された。
 2011年(平成23年)3月11日、東日本大震災による被害で堤が決壊し、貯水が下流の集落や田畑に流出し、甚大な被害。ダムを⽤⽔源としていた水田約840haの被害も大きかった。
 ダムの復旧・再建工事は、2013年に着手。2017年から試験湛水、農業用水の供給を再開した。復旧再建した堤体は東日本大震災と同規模の地震に対しても高い安全性を保つとの評価された。

羽鳥湖(羽鳥ダム)

 天栄村にあり、財団法人ダム水源地環境整備センターが2005年、「ダム湖百選」に選定した。周囲16km、最大水深31.2m、総貯水量2700万立方メートルの人口湖。
 かんがい用と発電用として、鶴沼川をせき止め、約15年の歳月をかけ、1956年(昭和31年)に完成した。
 「羽鳥湖」の名前は、ダムを造るにあたってダムの底に沈んだ羽鳥集落に由来する。
 現在は、サイクリングロードやキャンプ場など、周辺に観光施設が整備されリゾートエリアとしても注目されている。

千五沢ダム・母畑湖

 国営母畑開拓事業として着工され 1975年(昭和50年)に北須川に完成した。石川町、玉川村などにかんがい用水を供給している。堤高43メートル、堤頂長176,5m、総貯水量1300万立方メートル。
 当初予定したかんがい面積が減少したため、ダムの貯水容量の空き容量を洪水調節に使う治水容量として活用することとなり、洪水吐き改築、放流施設新設、管理設備改修などの施設改修を進めている。洪水吐き改築では、全国のダムでも珍しいラビリンス型洪水吐きを採用している。